体で覚える英語の発音:第11回 ア系母音の区別は可能?
英語を話すというのは、英語のルールに従うということです。
でも、文法ばかりがルールではありません。発音にもルールがあるんです。
話す上では、文法よりも発音のルールのほうがずっと重要なんです。
例えば、He bought a hat yesterday.をHe buy a hat yesterday.と言ったとしたらどうでしょう。
明らかに間違いだけど、意味は通じます。
では、問題です。
ある日本人が、He bought aハットin Karuizawa.という文を発しました。
さて、どんな意味になると思いますか。
そんなの簡単だよ。
帽子を買ったんだろう。
そう思いますか。
日本人だったら、おそらくそう思いますよね。
日本人なら「ハット」=hatですよね。
でも、日本人が発音する「ハット」って、ネイティヴには、果たして、hatとして聞こえるんでしょうか?
残念ながら、そうとは言えないんです。
hatのつもりで日本人が発音する「ハット」。
これは、ネイティヴには、むしろhut(小屋)に聞こえてしまうんです。
hutの発音は[hʌt]。
この[ʌ]は、短くて脱力した「ア」です。
ア系母音[ɑ]、[æ]、[ʌ]の中では、日本語の「ア」に一番近い。
一方、帽子はhat。
母音は[æ]。
口を横に引っ張って出す長い「ェアー」(あるいは「エァー」)という感じの音。
だから、hatだったら「ヘァーット」に近くなるんです。
この文では、「ハット」というものを買ったのは、in Karuizawa。
軽井沢という場所を知っている外国人が、この文を聞いたら、なおいっそう、hutっていう単語がピタっと、はまってしまう。
そう思いませんか。
■あのピザ屋は?
さあ、そこで次の問題です。
有名なピザのチェーン店に、ピザハットってお店がありますよね。
この店名、英語で表記すると、Pizza Htです。
で、このには、どんな文字が入るでしょうか?
すぐにインターネットで調べたりしないで、まずは考えてみてください!
熱いピザだから、hotのoが入る?
それとも、帽子のhatだから、aが入る?
いや、小屋のhutということで、uが入る?
ちなみに、このお店のマーク!
これがクセモノなんです。
この形、いかにも帽子ですよね。
だから、日本人のほとんどのは、ピザハットはPizza Hatと思っています。
皆さんもそうじゃないですか?
でも、違うんです!
このお店の名前は、Pizza Hutなんです!「ピザ小屋」という意味なんです
ア系母音[ɑ]、[æ]、[ʌ]は日本人が区別しない音。
だからこそ、こんな誤解が生まれるんです。(まあ、あの帽子のようなマークにも原因はあると思いますが。でも、あれは、小屋を表しているんでしょうね…。)
■日本人は本当に区別できない?
「でもさ、日本語には「ア」は1つしかないんだから、区別なんかできっこないんだよ。」
あなたは、そう思いますか。
そんなことないんです。
ただ、「自分には無理」っていう思い込みのために、区別ができないんです
本当は、ア系母音[ɑ]、[æ]、[ʌ]の区別は、日本人にだってできる。
それどころか、英語のいろんな微妙な違いだって、本当はできるんです。
LとRだって、区別できるんですよ
実際、ボクが大学教授として教えていたころ(2013年3月まで)、たくさんの教え子が、これらの音を区別できるようになりました。
英語専攻でもなければ、英語が得意でもない、普通の学生たち
が、ですよ。
■OKメソッドだからできる!
それを可能にするのが、ボクがずっと話してきた、ア系母音体操やらFA(フィンガーアクション)なのです。
ちなみに、これらをまとめて、ボクは、「OKメソッド」と名付けています。OK牧場ではないですよ…。
なんだか軽い名前だなー、なんて思わないでください。
これは、Ogawa’s Kinesthetic Methodの略なんです。
kinestheticというのは「運動感覚の」という意味です。
体を動かすことで感じるってことですね。
ボクはこのOKメソッドを、今まで十数年にわたって、何千人もの学生や英語教師に教えてきました。
学生は、大学を卒業しても覚えているんです。
英語教師、なかでも児童英語教師の人たちは特に、教室で大きな効果をあげているんです。
え、OKメソッドが知りたい!? それがこのブログで書いていることなんですよ
ちなみに、ボクのセミナー情報です。
◆9/29(日) 13:30~16:00 「教師も間違う英語の発音」
◆10/13(日) 13:30~15:30 「わかる! 読める! 英語母音図克服セミナー」
詳しくは、ボクのHPをご覧ください。
https://hth-c.net/web/