体で覚える英語の発音:第10回 体操で覚えるア系母音2

体で覚える英語の発音:第10回 体操で覚えるア系母音2


うまく出せない英語の音も、まず体を動かせば、出せるようになる。それがこのブログで紹介する技法です。
前々回と今回は、体全体を使った「ア系母音体操」の集中講座。

この体操は、日本人には区別の難しい、ア系母音[ɑ](hotの母音)、[æ](hatの母音)、[ʌ](hutの母音)の、究極の区別技法ですビックリマーク 


■本当に守るべきルールは何?

この3つのア系母音は、英語を母国語とする人は、きちんと区別している音。3音を区別するのは、彼らのルールなんです。
でも、「日本語にはそのルールがない。だから守らなくてもいい。」英語を話す日本人には、そんな人がいっぱいいます。
でも、ちょっと待ってください。


ラグビーしか知らない人が、サッカーをするとしましょう。
「俺は、サッカーのルールを知らないから、ボールを手でつかんで走ってもいいんだ!」

これってOKですか?叫び 

そんなことはないですよね。サッカーをする以上は、サッカーのルールに従わなくちゃいけない。
こと英語に関しては、そんな無茶なルール違反をする人が後を絶たない。おかしくないですか? 

英語を話す人にとっては、[ɑ]、[æ]、[ʌ]の区別は、複数形や三単現の-sよりも大事な情報なんです!目
だって、-sはなくても意味は伝わります。例えば、He collects stamps. をHe collect stamp.と言っても、だいたい意味は伝わるわけです。

でも、[ɑ]、[æ]、[ʌ]は、ちゃんと区別しないと意味が変わってしまうんです。He collects stamps.をHe collects stumps.と言ってしまったら、つまり、[æ]の代わりに[ʌ]を使ってしまったら、どうなるでしょう?

切手を集めているはずが、切り株を集めているってなっちゃうわけです。

日本人は、意味に影響を与える間違いを、平気でしちゃうってことです。学校でも、そんな大事な事実を、きちんと教えていないってことですよね。
でも、日本の学校では、意味に影響をあまり与えない、細かい間違いばかりに、やたら敏感だったりするわけです。
おかしくないですか?


■ア系母音体操の練習の仕方

では、ア系母音体操の話の続きです。まずは、その動きの復習です。

<左から順にhot 、hat 、hutの図

ア系母音体操を行うときには、注意することがあります。

まず、hot、hot、hot、hot、hot…と、1音節の単語を発音しながら、体を動かします。ポイントは、できるだけ多く繰り返すこと。

多く動かせば動かすほど、音が体に染み込んでいくからです。英語を使えるようにするには、この染み込ませが大事なんです。(これは見過ごされがちだけど、すごく重要です。)

[ɑ]と[æ]では、1回の動作をゆっくり行なうこと。[ɑ]と[æ]は長いのが特徴だからです。回数を稼ごうと思って素早く動いてはダメ。

また、[ɑ]では腕や背中をピンと伸ばし、[æ]では胸をしっかり張ります。こうやって体を大きく動かすと、口も大きく動かせます。(結局、口を英語流に大きく動かすことが、この体操の目的ですから。)

[ʌ]は短い母音。だから素早く行うこと。脱力し、背中を丸めることも大事。これで、[ʌ]の特徴である暗い感じを表現できます。


■いろいろな練習法

単語での練習に慣れたら、hot-hat-hut、cot-cat-cut、pot-pat-puttのように、いわば「三段活用」で体操を行います。
この三段活用も何度も繰り返します。hut-hat-hotとか、cat-cot-cutのように順番を変えるのもいいですよ。
先生がhot、hat、hutを板書し、そのうち1つを指差し、生徒にその発音を動作付きで読ませるのもよい練習です。

また、以下のような例文を、体を動かしながら発音してみると楽しいですよ。


① The swan swam in the pond.
   (The sw[ɑ]n sw[æ]m in the p[ɑ]nd.)

② My boss often takes a bus to fish for bass in the lake.
   (My b[ɑ]ss often takes a b[ʌ]s to fish for b[æ]ss in the lake.)

母音体操(またはFA(フィンガーアクション))付きで音読練習すれば、音を間違えずに区別できるようになります。
それに、体で覚えたものはいつまでも忘れないものです。
体を大きく動かす「ア系母音体操」は、朝や午後の授業での眠気覚ましに効果絶大です。授業途中での気分転換にも最適です。
しかも肩凝り解消にも役立ちます。

ぜひためしてみてください!

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