体で覚える英語の発音:第30回 [r]のときの舌の動き
前回からこのコーナーでは[r]を扱っています。
前回は、まず[r]の出だしの特徴について話しました。
出だしでは唇を丸める(円唇する)んです。
だから、出だしに小さい「ウ」を付けるようにすると感じが出ます。
例えばrightという単語を発音するとき、「ゥライト」のようにするといいんです。
ただ、円唇だけでは[r]の音は出ません。もう一つとても大事なことがあるんです。
今回はそれを見てみます。
■円唇に加えて…
では、円唇以外で大事なこととは何でしょうか。
それは舌の動き
舌を浮かせるように動かすということです。
舌を浮かせる? どういうこと?
これは、舌の先を反らせるということです。
舌先を反らして、その舌先を、口内のどこにも触れさせない状態にする、ということ。
この状態で声を出すと、こもってはいるけど、よく響く音が出ます。
これが[r]。
[r]には、もう1つ出し方があります。舌先を反らさないで出す方法です。
舌の付け根を持ち上げるようにして出すんです。舌自体を飲み込むような感じです。
このとき舌先は下がっています。
でも、これでも舌の後ろ側は浮くような感じになるんです。
だから、[r]が出るんです。
というわけで、どっちの方法でも、[r]が出るわけです。
ただ、実際には、ネイティヴは2番目の方法を使っている人が多いようです。
ある発音の先生は、声高に言っていました。
「舌を引き込む2番目の方法が本当の出し方だ。舌先を反らせる1番目の方法しか書いてないのは、発音をわかってない人だ」って…。
う~ん、そんなに威張って言うことでもないのにな、って思たんですよ
少なくとも、日本人が[r]を出すためには、1番目の方法のほうがわかりやすいし、出しやすいんじゃないかと思うんですよ。
2番目のほう、舌を引っ張り込むってのが、イメージできない人もいるんじゃないでしょうか。
だから、[r]を出すっていう点では、どちらでもいいんです。出しやすいほうでやってもらえれば、大丈夫!
で、ボクが教えたいのは、出し方なので、わかりやすいほうを主に使うんです。だから1番目の説明をよく使います。
■[r]のFA
舌先を反らす動きをFA(フィンガーアクション)で表してみましょう。
今回のFAは両手を使います。
まず左手。
掌を下に向けて、軽く丸めます。
指先は[u:]の形にしてください。5本の指でパチンコ玉をつまむ状態。
これで、[r]に必要な、円唇が表現できます。
実は、上の絵では、左手は[u:]の手にはなってないんです。
この絵を描いた段階(2010年のころ)では、まだそこまで考えてなかったんです。OKメソッドは少しずつ進化してるんです。
ちなみに、このブログの絵は、ボクが描いてます! モデルは自分の手…。両手の絵を描くのは難しいんですよ。見ながら描けないですから
で、右手です。
右手は、左手の真下で、掌を上に向けて、軽く丸めます。マシュマロを手にふわっと載せる感じです。
で、それぞれの手が何を表してるかっていうと…左手は、上あごを表しています。
人差し指~小指の指先は、一応、前歯です。(指先はパチンコ玉をつまんでる状態だけど。)
指の付け根が歯茎、掌のあたりが口の中の天井部です(専門的には「硬口蓋(こうこうがい)」と言います)。
右手は舌です。指先が上に向けて丸まっていますね。マシュマロを軽く包み込むような感じです。
これは舌先が反っている状態です。
[r]の音を出すにしたがって、右手を手前、胸のほうに引っ張り寄せるようにします。
これ、舌の動きを表してるんです。
■日本人の舌は動きが鈍い?
実は日本人の舌、特に舌先は細かい動きに鈍感です。
日本語には、英語のように舌先を微妙に使った音がないためです。
なので、例えば[r]を出しているとき、口の中がどう動いているのかは、私たちは敏感に感じ取ることができないんです。
FAは、口の中の動きを拡大して感じる道具なのです。
■[r]のFAの動画があります
ところで、この[r]のFAは、動画で見るとよりわかりやすいですよ。
というわけで、「OKメソッド発音体操第1」の動画を見てください!
https://www.youtube.com/user/alcmark1
この動画だと、どの音も、上半身全体で表現してるように見えます。
でも、やっていることは、ここで述べたことと同じです。
また、実は別の動画もあるんです。『小学校教師のための英語発音これだけ!』(アルク)の付属DVDのものがそれです。
http://shop.alc.co.jp/spg/v/-/-/-/7009184/
これは、ボクが演じてるんじゃないんですけどね。DVDの中の物語の英語の先生役のアメリカ人女性にやってもらっています。
この書籍を作った段階では、まだ「発音体操」になってないんです。
でも、やってることは同じです。他に数種類のFAも収録されています。
機会があったらご覧ください